思い出すこと

ホイアンで最初の夜、部屋にヤモリがきた。白い壁をチョロチョロと走って、すぐいなくなった。なんとなく、いいことがおこったような感じがした。部屋でヤモリを見たのはその日だけで、あとはかわいい声が聞こえるだけだった。私はカエルが大好きで、トカゲやヤモリも好きだ。今の家でも何度かヤモリを見たことがあるけど、そのたびに祝福されたような気になったものだ。家守とか守宮って書くくらいだし、虫食べてくれるしね。

トカゲとかヤモリを見ると思い出すことがある。もう大昔、私が高校受験した時国語の問題に引用されていた宮本輝の短編。私は入試でその引用文を読んで、すごく気に入って、その本を買った。今も実家においてあるけど、もう何年も読み返したりしていないので細かいことは忘れてしまった。でも今でも、実際にそれが自分に起きたことだったみたいに、一番好きなシーンが映像で思い浮かぶ。釘をひきぬかれた蜥蜴が去って行く姿。そんなのみたことないのに。すごく印象に残っているのは、自分が受験生という若干やっかいな立場だったからかもしれない(全然勉強はしなかったけど)。しかし、あの頃に比べて、あまり成長していないような気がする・・・・・・。むしろ、あの頃のほうが色々考えてたような。